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参考例は、展示していた額縁の落下にもとづく修理をご紹介しています。
『修理と新規見積もり』をお問い合わせいただきました。あいにく当該額縁は廃番となっており、同等品をお見積もりしました。結論は修理という方向で落ち着きました。20号の油彩額ですが、下に所見箇所と修理をご紹介しています。
落下原因は、吊り下げ金具で用いる木ねじが全く効いていなかったことによることが、分解することで分かりました。
隅の留めが落下の衝撃で欠損し、完全にバラけた状態。反対側も同様の状態。欠損部材は湾曲しており、モデリング材で成型して修理することにしました。
しっかりしたクランプで固定し、作業している工程画像です。
成型後、下地塗装ののちに本塗装。その後留め打ち固定しました。
(本縁の加工順とは逆工程で進めました。)
落下原因
裏の袖板が、近くの吊り下げ金具と一緒にめくれています。
吊り金具のビスを打つ下地材の設置がありません。単にベニヤ板に刺さっていたイメージです
額縁を分解して裏面を覗いていますが、二つの下地枠との間に吊り下げ金具用の打ち込み下地材を設置。同時に区体骨格の強度を持たせる施工も加えました。
内側のゴールド枠棹
ゴールドの枠が内と外にあるデザインの額縁で、両方とも隅が開いていました。
Vネールで組み上げ修理が終わった状態。
きれいに施工できました。
化粧板が衝撃で下地と剥離下状態。あわせてキズが生じていました。
完成画像です。
ばらけて欠損していた所もきれいに修理できました。
キズも目立たなくなりました。
キズが入った状態
完成画像です。
持ち込み時点では不明な箇所もありました。分解しなければ原因の特定ができない構造があります。
コーナー開きを固定する方法に、木釘を用いる場合があります。
ごく一般的にはVネールという組み上げ機専用の金属釘を使用しますが、額縁本体が垂直でなくテーパー(角度)がついている場合は木釘やチキリ施工します。
細いモールディング(棹縁)にガラスを使用した場合は、接着面積が少なくガラスを保持するのに不安があります。当店では、フレッチャー4000という特殊なほぞ孔加工ができる設備を用いています。打ち込む部材は硬質な樹脂素材で、接続する棹材を強力に保持する理想的な形状です。後日、四隅が開く畏れもなく安心して納品できます。
また重量のある棹縁も同様で、自重で四隅が開くことが懸念され確実な保持力が求められます。ここにもフレッチャー4000を用います。